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イワモト ヴァイオリン教室のブログへようこそ。
イワモト ヴァイオリン教室では
「正しい音程」 (正確な音程)
「本格的な音色」(美しい音)でヴァイオリンを弾くための
基礎的な演奏技術を大切に指導し
一音いちおん丁寧に
各人の進捗に合わせた課題をレッスンしています。
もしも
1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0
というように数字が並んでいると非常にキリが良く感じるでしょうし
そこから次の数字を予想することも簡単ですし
1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0
というように数字が並んでいても矢張りキリが良く感じるでしょうし
そこから次の数字を予想することも簡単ですし
1 2 3 2 3 4 3 4 5 4 5 6
というように数字が並んでいる場合にはキリは悪く感じるものの
そこから次の数字を予想することは簡単ですが
1 0 7 2 1 1 3 1 9 4 0 3
というように数字が並んでいる場合はキリが悪く感じるうえに
そこから次の数字を予想することはかなり困難だと思います。
そして
既述のような数字の配列で感じるキリの良さや悪さは、ヴァイオリンの音程の取り方でも見られます。具体的には私のサイトのヴァイオリンの音程の取り方のページで掲げたように
奏でます。
[ソ][レ][ラ][ミ]の音が共鳴する音程は
[ソ][レ][ラ][ミ]以外にも複数有るなか
冒頭既述の譬えからすると
[ソ][レ][ラ][ミ]が共鳴し易い音程は
1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 という数字の配列に
[ソ][レ][ラ][ミ]の共鳴から組み立て易い音程は
1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0 という数字の配列に
[ソ][レ][ラ][ミ]が共鳴せずとも音程が取り易い場合は
1 2 3 2 3 4 3 4 5 4 5 6 という数字の配列に
似たものを感じますが
[ソ][レ][ラ][ミ]が共鳴せず更に音程も取り難い場合は
1 0 7 2 1 1 3 1 9 4 0 3 という数字の配列に
似たものを感じます。
そうした点で
例えばベートーヴェンの弦楽四重奏曲をベードーヴェンの存命中に多く演奏したことで知られるシュパンツィヒが、その作品の弾き難いパッセージについてベートーヴェンに愚痴をこぼしたところが「音楽の女神が舞い降りた時、私が君のみじめなフィドルのことなど気にかけると思っていたのか」と応えたと伝えられていますが、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタでも、およそヴァイオリンの演奏技術のことなど考えていないためにヴァイオリン弾きにとっては弾き難いパッセージが多数見られ、音程についても非常に取り難い音形が少なくない点ではまさに
1 0 7 2 1 1 3 1 9 4 0 3 という数字の配列に似たものを感じます。
(ちなみに、ベートーヴェン自身もヴァイオリンを演奏したとされていますが、例えばヴァイオリン・ソナタの譜面に遺されている運指が、高域の音において一音ずつポジション移動しながら1の指でばかり弾くように書かれていたりすることなどから、その腕前は極めて初歩的でしかなかったと類推されます)
それに対して
前の記事で取り上げたウィニアフスキー/ヴァイオリン協奏曲 第2番などは、楽譜を一見しただけではベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタなどの譜面よりも音が細かく音形の跳躍も多いように思われがちですが
それはあたかも
1 2 3 2 3 4 3 4 5 4 5 6 というよりも
2 4 6 3 5 7 4 6 8 5 7 9 というようなものでしかなく
一見するとやや難解なように見えるだけで、実際に演奏してみるとウィニアフスキーのほうがベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタなどよりも遥かに弾き易く音程も取り易いのは、ウィニアフスキー自身が優れたヴァイオリニストであったからです。
そうしたなか
ラロ/スペイン交響曲は、第5楽章まであるので“交響曲”と称されているだけで、実際は“ヴァイオリン協奏曲”ですが、聴衆として耳にするスペイン情緒を湛えた情熱的なパッセージがふんだんに登場する作品の印象とは裏腹に、奏者として弾いてみると既述の例からすればベートーヴェンよりもウィニアフスキーの作品のような弾き易さを感じるのは、ウィニアフスキーほどではなかったとはいえラロ自身もまた優れたヴァイオリン奏者にしてヴィオラ奏者であることを物語っているといえます。そのため、ラロ/スペイン交響曲は、ヴァイオリンの学習者がポジション移動を伴う音程の取り方をより一層跳躍的な音形において確実に習得するための課題としても優れています。
そうした点で
例えばバッハ/ヴァイオリン協奏曲 第1番も生徒がより一層精緻な音程の取り方を学ぶ課題曲として打って付けですが、バッハ/ヴァイオリン協奏曲 第2番はそうした点では遥かに難解な楽曲であり、バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲は音程を取ることにおいて既に相当程度のレベルにある生徒が演奏するならともかくも、そうではない段階で課題曲として課してしまうと、ただ単にガチャガチャと弾いているだけの演奏になってしまいます(笑)にもかかわらず、特にバッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲を未だまだ音程が確実には取れない生徒に課題曲として課してしまい、生徒も先生との合奏で、それらしく、それっぽく弾き通して何となくご満悦…というようなレッスンを行っている指導者も居たりするのには、ただただ呆れるばかりです。
一方
生徒にどの段階で何れの課題曲を課すべきか…ということについて十二分な配慮を行っている先生であれば、上記のようにバッハ/ヴァイオリン協奏曲 第1番を先ず生徒に課題として課すことは十分想定されるとしても、ラロ/スペイン交響曲も弾けない段階でバッハ/ヴァイオリン協奏曲 第2番を課題として課してみたり、バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲を先生と、それらしく、それっぽく弾き通させる…などという愚行は行う筈がないのです。
ですから
これも前の記事で書いたように生徒の学習状況に応じて提示する課題曲の順番と選曲においても、指導における長年の叡智というものが存在し、そうした課題曲の選択においても学習者の側が勝手に弾きたい曲を弾いていたのでは話にならず(笑)課題曲の選定に関しても熟知した指導者に就かなければ、正しい演奏技術の修得は望むべくもないのです。
加えて
ラロ/スペイン交響曲の場合には、レッスンに使用する楽譜の選定において、その先生の課題曲の選定に関する知識と指導力を推し量ることができます。それは、例えばパガニーニ/カンタービレの場合、全音の曲集に載せられている楽譜では
問題となる音符の数は少ないので直せば使えるとはいえ、印刷間違いや誤植などというレベルではない著しい間違いがあります。にもかかわらず、専ら単旋律ばかりを弾いているために和声に関する注意力が散漫なヴァイオリニストや、そうした分野の専門教育をまるで受けていないアマチュアが、そうした誤りに全く気付かずに全音の楽譜の通りに弾いてしまっている光景を目にすることがあります。そしてラロ/スペイン交響曲の場合には、そこまで顕著な間違いではないが故に、♯や♭の臨時記号において意外な箇所で欠落や誤りが散見される楽譜が出回ってしまっていることに気づかない奏者が少なくないのです。
楽譜の選定について他の楽曲であれば楽譜の選定=運指や運弓における校訂内容の違い、という程度の問題でしかなく、何れの版を用いたとしても運指や運弓における不具合を書き直せば済む、ということになってしまいがちですが、ラロ/スペイン交響曲の演楽譜では、単旋律として捉えるだけではなく、和声的な分析や和声進行の観点からも詳細に確認すると、既述のような臨時記号における間違いが無い版としてはデュランのものしかないことがわかります。
Edouard LALO
SYMPHONIE ESPAGANOLE
DURAND
また
その運指や運弓の内容からすればデュランではない版を用いていることが明らかであるにもかかわらず、既述のような意外な箇所での臨時記号の欠落や誤りを正しく修正し尽くしていることがハッキリと確認できるほどまでに精緻な演奏のCDとしては下掲のものが特に優れていますが
ミンツ(ヴァイオリン)
メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
これがスタジオ収録ではなくライブ録音であるのにそこまで緻密な演奏であることには更に驚かされます。
もっとも
既述のように、未だまだ音程が確実には取れない生徒にバッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲を課題として課して生徒と合奏してそれらしく、それっぽく弾き通して何となくご満悦…というようなレッスンを行っている指導者でも、ラロ/スペイン交響曲については知っている…だの、それを課題曲として何らかの段階で課している…だの、デュランの版でレッスンしている…ということになると、何かそれだけで、それらしく、それっぽく指導しているように見えてしまう可能性もあります(笑)
既述にようにラロ/スペイン交響曲では、既述のようにベートーヴェンよりもウィニアフスキーの作品のような弾き易さを感じはするものの、スペイン情緒を湛えた情熱的なパッセージの表現のために独特な音程のアルペジオが頻出しています。そうしたことから、ヴァイオリンの学習者がポジション移動を伴う音程の取り方をより一層跳躍的な音形において確実に習得するための課題としてラロ/スペイン交響曲を取り上げる際には、臨時記号を伴う音においてもヴァイオリンとしての音程が求められることから、そうした点での指導が行われることなく、それらしく、それっぽく指導しているだけでは有効な課題とは成り得ません。
のほうが高い…と
の音も
の音の弦が共鳴して
と響くので
(ミの開放弦)を基に
はっきりと、きちんと弾き示してくれる筈です。
えっ?
それぞれの音程が異なるなどという面倒な弾き分けをしないで済むから簡単でいい?
そういう人には、下記がお勧めですが、ただし8曲しか弾けません(笑)
https://www.amazon.co.jp/dp/B002TS0Z5Q
もっとも
ヴァイオリンの音程をチューナーやピアノで取らせているなどというのは最初から話にならず論外だとしても
開放弦を基に音程を取る方法で既掲と同様に弾き示せるかどうかということを自分の習っているヴァイオリンの先生に訊いてみた場合、今迄は、私の習っている先生は有名音大を卒業しているから大丈夫…ですとか、私の就いている先生は有名オーケストラの団員やソリストとして活躍しているプロだから安心…と思っていたのは、実はただの幻想に過ぎなかった…ということになる可能性があります。つまり、既述のようなヴァイオリンならではの音程の取り方など説明できず、音程の取り方も知らずに兎に角ひいて弾いて弾きまくって徐々にそれっぽい音程に近づけているような人達と同じでしかなかった…という現実に直面することになるかもしれないからです。
ということで
既述のように、はたしてラロ/スペイン交響曲を生徒にどの段階で課題曲として課しているか?それはどのような判断によるものなのか?さらに既掲のような音程の取り方が弾き示せるか?といった点を注視することで、決して思い込みや肩書などではなく、その先生が本当に指導力のある先生なのかどうなのかということを推し量ることができます。そして、既掲のCDには、ラロ/スペイン交響曲と同様に、ヴァイオリンの素晴らしい楽曲であるだけではなく、本当に指導力のある先生であれば学習者に何れかの段階で必ず課題として課す楽曲が他に2曲収録されているので、それについては夫々次の記事と、その次の記事に書きたいと思います。
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